体に耳を傾ける

骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門
片山 洋次郎 / / 文藝春秋
ISBN : 4163663002

腰痛とつきあうわたしにとって、この人の本はお守り本。何かあると取り出してふむふむと納得して、何かしら試してみる。
ホームドクターとして慕っているカイロの先生のすごさもあって、西洋医学よりも、こういう、体を整える仕事の人の言葉が身にしみいるのだ。薬じゃちっとも治らないんだもの。

で、この人の本を読むと、性格や考え方の癖もその人それぞれの体の癖から来る事が良く分かる。
依存体質は依存を求める体つきがあり、依存を受け入れてしまう人は、これまたそういう体つきがある。
無理矢理頑張る時の集中と、好きな事に心から没頭し集中するときの体の状態がどう違うのかも明解に解説する。
心のありようは、体を整えることで変わってくる。
不安にも自信にも根拠はなく、それは体の状態からくることなのだよ、と言われると、なんだか妙に安心する。
そしてそれをどうしたらいいかというちょっとしたヒントもあるので、今、何をすべきかが分かる。
心を奥深く掘り下げて悩みの中に埋もれてにっちもさっちもいかなくなるより、身体を整えるという確かな方法があるという事が安心なのだ。

興味深い、体僻による性格判断は、妙に分かりづらくてかゆいところに手が届かない感じではありますが、全体的に入門編としてわかりやすいし、入りやすい。
健康書というより、人生の書のように、専門分野から見つめる人生の捉え方は深く、示唆に満ちている。
この人の他の著書にも共通して、「悪い所を治す」のではなく、「生きやすい体でいる。病を経過する。」という考え方があり、癖も病も老いも受け入れた上での生きやすさを常に考えている事が、無理がなく、非常に気持ちよいのだと思う。


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