真実のある場所

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

福岡 伸一 / 講談社

久々に興奮の本。
評判が良くてずっと読みたかったのだが、ぱらぱら見る専門用語にたじろいでいたところ。
一度読み始めてしまえば、語り口のうまさに自然にのみこまれる。
生物学の歴史と伝記と、そして発見された真実がうまく織りあわされ、ダイナミックな物語だ。

特に私が大興奮だったのは、DNAの構造!
DNAの構造とは、2本でらせんを描き、それぞれが逆走しながら補完しあう、対の関係なのだという。
「自然界の大事なものは全て対である」、という言葉は、マヤの言葉の「聖なるものの二元性」という言葉と共通していて、やっとその本当の意味が体に落ちた気がした。

この自然界に光と闇はあるように、陰陽があるように、それはきっと人にも社会全体にも言える。光の人、闇の人。
善悪ではなく、存在として。
そうしないと、この世界はこのコントラストを放たないのだから。
いい事も悪い事も、悲しい出来事も美しい出来事も、全部対だ。

それをDNAが証明してる。逆走して補完しあう2本。美しいなあ。

そして生命維持とは、常に今有る秩序を破壊しながら新たに作り続けるということ、その最たる作業が「食べる」ということなのだそうだ(多分植物でも養分を取り入れるという意味でそうなのだろう)
食べた物は、体の分子レベル(これがまたすごい話だ!)で、体をどんどん作り替える。
数日後には、食べた物の分子で出来上がった体は、今までとは全く「別物」
そうやって常に流れて通り過ぎていく、その潮流こそが生命たるゆえんなのだそうだ。
あ、このへんかなり専門用語で書いてあるので、私の理解度での超意訳ですけど。

生命とは、その「秩序を壊しながら新しく作り続ける」という宿命によって、生き続けていられるという結論(これも「対」の関係にあるのだ!)を、観念論ではなく、淡々と実験と結果から導いていることに、感動する。

いやあ、もう、意訳しすぎですが、やっぱり私は真実は体の中に全てあると、感じたのでした。
大好きな整体の本には「体は全てホログラフィックである」と書いているけれど、おそらく宇宙と体の関係も、ホログラフィックなのじゃないかな。
だから、体には宇宙と同じ情報がある。

科学の最先端から、そんなことを仮説する、非科学的な私なのでした。


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