ご当地物語、その先へ

飯能アルプス物語

知人の主催している地元初の試み。
飯能にまつわる場所で起こる人間模様を5話のオムニバスで描いている。

脚本演出と中心の役者さんたちは小劇場系かしら?
笑いのつぼやつっこみや泣かせどころも、ちょっと過剰な演技も、でもちゃんと届くセリフまわしも、ほぼ小劇場ノリ(キライじゃないですよ笑)

ただ、これ、地名を他の場所に変えても話の中身は変わらないから、
「飯能物語」じゃないんじゃ!?
設定だけ特定の地に、というのはやりやすいのでよくあるパターンだけれど、
それだけだと、各地が作っている安易なご当地芝居と変わらなくなっちゃう。

地元ならではのアイデンティティ(名所紹介とかじゃなくて、飯能人の気質とか文化的な傾向とか)に即した書き下ろしだといいのになと思いました。
次へのリクエストですね。

そして、5話目にはおそらく地元のアマチュアの役者さんたちが出演されていて、その試みはとてもいいと思う。
舞台はプロだけのものではなく、いろんな人が演じる喜びや表現する楽しさを共有できたらいいと思う。
でもなぜ役者さんたちと分けて、5話だけアマチュアにしちゃったのかなあ。
稽古の都合があるのは重々承知で、5話だけを地元の人が演じるとしても、
何度かエチュードやワークショップを役者さんたちと行いながら「芝居のトーンを揃える」というか、
演出家がそこをフォローアップする体制は必要だったのじゃないかなあ。
差が出るのは当然で、それはアマチュアの責任ではなく、どこまで作品を突き詰めるか、制作と演出の考えて行く点だなと思います。

そして次回以降、欲をいえば、演劇の専門家たちの力をより借り、プロと市民が混じり合い、
より演劇的な空間になるなかで「飯能」アイデンティティが浮かび上がるといいな。
地元の魅力を伝えるのではなくて、そこにいる人たちのリアルを伝えることが、結果的にその土地の魅力になる。
そうすると地元の方も、外から来る方も、学芸会ノリではなく、一緒に楽しめるものになるのではないでしょうか。

でも、まずは第一歩があったことにおめでとうございます。

都内に行かなくても良質な舞台が見られるように、どんどん地元の音楽も芝居もクオリティが上がるといいなあ!!
そして、お堅いホールじゃなくて、いいサイズの気持ちのいい小屋があるとこういう作品の面白さは一気に変わるのになあ、と無理なことを願ったりするのでした(地元にいいホール、いい芝居小屋になるスペースが欲しい!!)