子どもが入れる、大人のためのコンサートという立ち位置

先日は、大好きなバイオリニスト金子飛鳥さんのコンサートに久しぶりに。
場所は、なんだかんだ行く機会の多い、渋谷の公園通りクラシックス。
 
昼夜のうち昼間はお子様OKの回(夜は大人のみだそう)ということで、X-jamも同じようなコンセプトで12月にコンサートをやるので、どんな風になるのかなあと思っていました。
自分たちのも含め、子ども向け作品、親子対象作品での子どもの反応は多々見てきましたし、対象を問わないライブイベントではよくあるのですが、あくまで音楽を聴きたい親のための、通常のコンサートに子どもが入れるというシチュエーションで何が起こるのかは、やっぱり未知数で。
 
コンサートに来たくて来たくて!という思い溢れる親が、0歳から3、4歳の子どもを連れて、平日昼間にもかかわらず数組来ていました。
 
 バイオリンの飛鳥さんとピアノの林正樹さんは、よい意味で子どもたちに見向きもせず、ご機嫌取りもせず、かなり繊細な曲から即興まで、幅広く演奏する。
完全生音で、瞑想に入れるような深呼吸したくなるような音楽。
整体で体メンテ後だったので、もう、体がゆるみまくってしまった(笑)
ちゃんと「自分に届けてもらった」と、大人が思えるコンサートでした。
大人には一時間はあっという間すぎて短かったけれど(笑)
 
そして、始めて音を出した時の、子どもたちの、「うわぁ〜」という静かな空気の震えが忘れられない。
そこから終演まで約一時間は、その子によってどういう時間を過ごすことにするか、自分で決めているように見えました。
「聴く」ことにする子、まどろんで眠りに落ちていく子、しばらくして動きたくなって会場から出る子、だんだん声で反応を始める子、様々だったけれど、今回、音楽家の愛情は、その子達に個々に反応するのではなく、あくまで音楽を集中して届けることにあって、その姿勢を子どもは受け止めるのだなあと改めて学びました。
 
子ども向け作品をやる人たちだけでなく、多くのミュージシャンが、「その場に子どもがいること」というのを体験してもいいのじゃないかと思います。
そして、観客として来る大人も、「その場に子どもがいること」を体験すると、音楽が違うように聞こえてくる気がします。
 
一方では子ども入場不可という形で、コンセプトを限定するのも大事なことで、排除ではなく、適切な場をどうやって作るかという共通認識をお客様と一緒に作るって大事だなと思ったのでした。
 
「こども無料」
の意味は、必ずしもその子のためにじゃなくて、そこに切実に来たい親のために、
親が自分を取り戻す時間を過ごすために。
そんな場だってあってもいいな、浸透するといいなあと思います。
もちろん自分たちがやるコンサートも、そうでありたい、と思っています。