同時代を生きるピアノで、同時代の音楽を奏でる

12月1日(金)・2日(土)シモシュピアノ持ち込みコンサート〜Xymox meets FAZIOLI〜
を企画しました。
FAZIOLIというピアノの名前を聴いても、ピンとこない方も多いかもしれません。そもそも読めないし(笑)
ファツィオリと読みます。イタリアの新進気鋭のピアノメーカーで、創立からの歴史は約30年。
イタリアの工事で30数名の熟練職人がなんと手作りで、一台に3年もかけて作っているのだそうで、
おのずと年間生産台数も限られ、わずか130台程度なのだといいます。

年間数万台生産していたメーカーとは、だいぶ違う。
その、量産品とハンドメイドの違いは、音色にも、造りそのものにも表れています。

で、なんでそのピアノを今回のコンサートでわざわざ持ち込むのかというと、
もちろん、その音が様々なメーカーのピアノを弾き比べても格段に美しい、
透明で繊細で上品な雑味のない音がすることはもちろんですが、
現状国内で常設しているホールがほとんどないため、埼玉県内で地元の方にきいていただきたいと思ったら、持ち込むしか選択肢がないということ。

そして、何よりも、おそらく演奏家シモシュとの間で心が通じ合ったのは、
「同時代性」なのではないかと思います。

スタインウェイをはじめとする今のピアノメーカーは、
すでに完成してブランド化したピアノたち。
完成当時のピアニストや作曲家の作風にも合った、
その当時の音楽にふさわしい音作りがされています。
今でもアンティークピアノなどを聴くと、
往年の名ピアニストの演奏のニュアンスがよくわかるなあという気がします。
当時のホールの大きさ、当時の楽曲、当時の時代の匂いに、
やはり楽器は自然とは寄り添うのだと思うのです。

一方ファツィオリは、出来て約30年。
ほかのブランドが積み重ねて完成した形に加えて、
大きくなったホールの造りや、新しく生まれた楽曲や、
コンサート以外の様々なメディアや、この時代感、その風をすべて受けて研鑽してきたのです。
現に、ファツィオリの社長は今でも、完成したピアノを一台一台試弾し、
OKを出したものだけを出荷しているという。

今、この時代に生きて、クラシックを演奏するのではなく、
リアルタイムで曲を新しく作り続けて、
弾き続けるシモシュのような作曲家・ピアニストにとって、
ファツィオリは戦友というか仲間というか、切磋琢磨するパートナー。
演奏家が「ここが気になる」と欲を出せば、
作り手が答えてくれる、そんな成長し続けるメーカー。

だからこそ、シモシュは自分の作品を演奏する今回のパートナーをFAZIOLIに選んだのだと思います。

初めてこのピアノの音を聞いたとき、びっくりして、なんだか涙が出そうになりました。
作り手がこの時代に生き、そこで生み出す音のエネルギーは、
ピアノマニアではない普通の耳にも、なんとも心地よく、熱く、響くのです。
調律師さんが毎回のように「もっと良くなります。もっと良くします」と言い続けるその飽くなき探究心にも、胸が熱くなります。

古いピアノにもたくさん出会ってきて、その素晴らしさも重々承知だけれど、
私たちは今を生きている。完璧な完成品じゃなくて、未完成さも未熟さも含めて、今を生きてる。
そんな現在進行形を、楽器も含めて共有できるコンサートになればと思っています。

さて、そんなウンチクはすべて忘れて、当日、美しいピアノの造りと音に、浸っていただけたら嬉しいです。

当日のピアノ調律を担当してくれる越智晃さんとファツィオリを取材された記事をリンクでご紹介します。
http://globe.asahi.com/feature/100719/04_1.html

シモシュピアノ持ち込みコンサート
Xymox meets FAZIOLI
2017年12月1日(金)18:30開場19:00開演
12月2日(土)13:00開場13:30開演
場所 所沢市民文化センター ミューズ キューブホール
料金 前売り当日共 全自由席
1日 一般3000円※未就学児入場不可
2日 一般3000円
中高生1500円
小学生以下同伴無料(席の必要なお子様は要申し込み)
両日通し券 5000円(一般のみ)
ご予約フォーム
https://goo.gl/forms/0Y52gUwuZWReUWaY2