混沌とした棚のなかから出会う

電車移動する時にはいつも本。
タブレットもついつい見てしまうけど、やっぱり時を忘れて集中してあっという間に目的地に着くには本しかない(ま、たまに目的地を過ぎてしまうけど)

地元の駅には、「かえる文庫」という便利な本棚があって、
本来は図書館で古くなった本を置いているのだろうが、自由に持って行って、自由にそこへ返せばいいゆるいシステムゆえ、いろんな人が不要な本を勝手に置いて行ったりもしている。
ついつい通りすがりに覗くと、時々、自分の好みとは全然違う本に出会うことがある。
ハーレクイーンやらティーンズ小説やらはさすがにパス!なのですが、
今まで読まなかったジャンルの本の面白さに不意に出会ったりするので、興味がないものもとりあえず手に取ってしまう。(宮部みゆきなどはそれで出会っためっけもの!)

最近置いてあったのは、川口松太郎「皇女和の宮」
幕末に、徳川家と天皇家を結びつけるために政略的に将軍家へ嫁がされた和の宮のドラマは
有吉佐和子さん始め、いろいろ小説やドラマの題材になっていて、
どっぷりと濃厚な歴史恋愛小説(もちろんフィクション)。
全く興味が無かったけど、意外に面白い!
思わず帰ってからも深夜まで布団の中で読了してしまった。

奥付を見たら、1953年新聞連載だという。
戦後10年も経っていないのに、神格化されていた天皇家の話題が小説化されている。
しかも、これ、今でいう歴史エンタメ小説だよ!
当時の人がこれに熱中した心境がいかばかりかと想像するのも興味深い。

ジャンルを上手に分けて、センス良くチョイスされた書店も大好きだけど(特に店主の思いがはっきりわかるようなお店は大好き)
選ばれず、無作為に、誰の判断も入らずに混沌とした棚もいいものだな。
なくなってほしくない、そいういう場所もまた。