500字映画評「マイ・インターン」

若手女性社長ジュールスの元にシニアインターンとして入ったベン。初めは全くあてにされず、仕事もろくにもらえなかったが、彼の長年の経験からくる機転や、あたたかな人柄に周りの人が惹かれはじめ、次第にジュールスも信頼を寄せるようになる。

特別な趣向を凝らした作品ではないが、終始見ていて気持ちのよいのは、恋愛だけに力点が置かれていないからかもしれない。社長とベンの関係はあくまでも信頼のおける仕事の仲間であり、友人。会社の人たちもいわゆるいいやつで、嫌な人間を見るというストレスがこの映画にはない。脇役に至るまでそれぞれの生き方や選択を肯定した作品だ。

女性が仕事の上でトップに立つ難しさやシニアの再雇用もまた、アメリカでも同様の問題なのだなと思わされる。

一方で、子育てをしながら会社を経営するジュールスを支えるために専業主夫を選ぶ夫の苦悩にも触れていて、平等な創りだなと思う。

何よりベン役がすばらしい。ロバート・デ・ニーロの今までのイメージとは違う、キュートで上品なシニアの枯れた魅力。彼が、映画の中だけでなく、撮影においても若い人たちに多大な影響を与えたことは、想像にかたくない。

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